隠れ胆石ともいわれる無症状胆石は、欧米ではサイレントストーンと呼ばれ警戒されています。胆石が、欧米風の食事へ変化している日本人の間でも増加しており、放置していると危険な症状を引き起こすことがあります。
隠れ胆石ともいわれる、無症状胆石の患者数が増えています。欧米ではサイレントストーンと呼ばれて注意されています。胆石の症状が出ている胆石患者数自体が急激に増え始めているので、隠れ胆石、無症状胆石として、本人が気がついていないだけというケースの増加が予測されています。健康診断の必須項目として検討されているのはそのためです。隠れ胆石とは、胆石ができ、たまってきている状態になっても、胆石症の症状を起こさないことを言い、症状のある人を胆石症と言います。隠れ胆石と呼ぶのは俗語で、無症状胆石と呼ばれるのが一般です。胆石を持っている人の大半が無症状胆石で、胆石症状を起こす人は1〜3%と言われています。無胆石症は人間ドックで発見される数が増えています。隠れ胆石のうち、微少の胆石は通常、胆管に残るか、小腸に送り出され便となって排出されるため、最後まで気がつかない場合も多いようです。
胆石患者が増加している原因は、過労、過食、アルコール摂取過多などもあがっていますが、最大の原因は食事内容の変化だと言われています。穀物や野菜、大豆類を主食としていた従来の食事内容が、肉など脂肪摂取が増えたことで、コレステロールの摂取過剰が見られるようになったことが大きな原因と言われています。
胆石症状が表れている胆石患者数は氷山の一角に過ぎず、隠れ胆石、無症状胆石と言われる状態の人は相当な数に上っていると言われます。
胆石症の内訳は、年齢別では高齢者に胆石の所持が多く、性別では女性に胆石症の割合が多いです。胆石症は女性ホルモンのバランスが崩れることによっても胆石が出来やすいためで、このほか糖尿病患者や肥満体質の人にも出来やすいとされています。隠れ胆石、無症状胆石を用心する人は、食事、アルコール、極度の疲労、糖尿、肥満など客観的に振り返ってみることが大切かもしれません。
イギリスで、ダイエットに関する本がヒットしたことがあります。かなり前の1999年のことですが、アトキンスという医師の書いた「新しいダイエットの改革」という本です。アトキン・ダイエットと呼ばれ、ダイエットに成功した女性も多かったのですが、その方法がたんぱく質を多くとって、炭水化物を減らしながらのダイエットだったため、胆石を引き起こす可能性が高いと警告が出された事があります。当時のイギリスでは、女性の胆石患者数が過去の2.5人に一人という割合から1.3人に一人へ増えたほどだったので、体重が減るのは良いが、胆石にも注意してという警鐘が鳴らされたのでした。
胆石の症状を見てみます。
胆石の痛みの程度については激しい痛みが知られていますが、さまざまな程度、内容があります。重い感じだけの場合から、鈍い痛み、脂汗を流しがまんできないようなお腹全体の痛み(胆石疝痛)など、それぞれに異なります。痛みの場所は、主にみぞおちから右肋骨下、右脇腹、右の背中にかけて、また腹部に見られます。胆石症状の内容は、張り、腰痛、肩凝り、大量の汗、他に吐き気や嘔吐、胸部・腹部の疼痛などで、それぞれの部位によっては心臓疾患、胃痛などと間違われることもあります。脂肪の多い食事をした後に発作的に痛みを起こすケースでは、腹部などの痛みになることが多いです。胆嚢結石症による症状では,脂肪の多い食事の後30分から2時間に、上腹部,右ろっ骨に突然の痛みが現れるるのが特徴です。痛みは長くは続かず、その後は通常の状態に戻ります。
隠れ胆石、無症状胆石は、症状が出ないため本人も気がつかないのですが、超音波検査が検診に組み込まれるようになってからは、偶然に発見される無症状胆石、いわゆる隠れ胆石患者が増え始め、10〜15%もの胆石保有率が報告されています。隠れ胆石、無症状胆石が発見された後は、経過観察に移りますが、無症状で生活に支障を感じないため、手術まで至る率は、比較的低い数字となっています。無症状胆石で手術が必要と判断されるのは、結石が2cm以上の大きな結石となってからです。胆石があると胆嚢癌ができやすいとの説もありましたが、現在では定説ではありません。
胆石は、胆道にある胆管と胆のうに出来る結石です。胆石はその種類によってコレステロール胆石、色素胆石、その他の胆石などに分類され、それぞれの胆石には特徴があり、治療法にも影響するので、いろいろな検査によって胆石の有無や種類を診断する必要があります。
隠れ胆石、無症状胆石も発見される胆石検査の方法には、腹部超音波検査、腹部単純X線撮影、 胆嚢造影(DIC)、逆行性内視鏡的胆道膵管造影(ERCP)など、いくつかありますが、検診などで利用されている方法は、腹部超音波検査です。
腹部超音波検査は、エコー検査とも呼ばれるように、超音波を利用した方法で、エコーゼリーと言う物質を皮膚に塗った場所に、超音波を放出する探触子で胆石があるかどうかを調べます。胆石の検査としては、腹部超音波の検査方法が多く取られ、発見率も高く胆石以外でも、胆嚢、胆管、肝臓の腫瘍などの検査でも採用されますが、胆管内に出来た胆石は、超音波では発見出来ないことがあると言われています。
胆嚢造影(DIC)という検査方法は、ヨード剤(造影剤)を使って、胆石による欠損影を映し出す検査です。腹部超音波検査に比べると、見できる確率は60%程度と低くなります。
逆行性内視鏡的胆道膵管造影(ERCP)という検査方法は、同じ造影検査法ですが内視鏡を使った方法で、胆嚢や胆管の胆石を検査するだけではなく、その場で胆石を除去することもできる利点があります。
隠れ胆石、無症状胆石の可能性が高まっていますので、健康診断では、胆石の有無を確認することが早めの予防、治療につながることになります。
胆石症の治療法にはいくつかあり、胆石の種類、胆石のある場所、胆石の大きさなどにより、とられる治療法が変わります。胆石の治療法の種類は、経口胆石溶解療法という、胆石を溶かす方法、体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)という、胆石を破壊する方法、胆嚢摘出術という、開腹あるいは腹腔鏡によって胆石を切る方法、その他の治療があります。隠れ胆石、無症状胆石については、胆石が発見された後は様子を見る経過観察に入りますが、自覚症状がないため生活の支障がなく、胆石の大きさが約2センチの範囲内であれば、必ずしも手術を必要としません。食事療法が併用されることが多いです。食事療法の場合、カロリー、脂肪量が制限され、コレステロールの摂取に注意が払われます。脂肪の多い食物、たとえばうなぎ、マグロ、サバ、卵黄、豚肉、牛肉、ソーセージ、マーガリン、マヨネーズ、フレンチドレッシング、落花生、天ぷら、からあげ、などはなるべく避けます。脂肪過多の食事を摂った場合、胆石症の方は、胆嚢を収縮させ、痛みの原因になるりますし、隠れ胆石、無症状胆石の方は進行を早めることになります。アルコールは、胃液分泌促進、過食の原因になり、胆嚢を収縮させ、痛みの原因になるので、隠れ胆石の方も飲み過ぎなど量に対する注意が必要です。胆石においても漢方や鍼灸による治療があり、発作に対する対症療法と、体質を改善していく原因療法に分けた治療が行われています。
胆石の予防については、胆石になる原因を理解し、胆石の原因を取り除くことから始めます。
日本人の胆嚢胆石の80%は、コレステロールを主成分とする胆石で、その数も一千万人を超えたといわれています。コレステロール過剰が原因ですので、前述のように食事の内容に配慮し、脂肪摂取を制限することによって予防します。
脂肪摂取制限のほかには、過労、過食、アルコールの摂取過多などを控えるも大切とされています。